絵画を長く楽しむための保管方法
- 2015年10月30日
- 絵画の飾り方

お気に入りの作品は、末永く楽しみたいものです。
しかし、ある条件が整ってしまうと、せっかくの作品が傷んだりカビが出たりなど、劣化してしまいます。
今回は、劣化を防ぐための環境づくりをご紹介します。
絵画保管の5つのポイント
- 1、湿度
- 2、温度
- 3、紫外線
- 4、ガスや煙
- 5、長期間掛けたままにしない
1、湿度
湿度が70%を超える空間は、作品にカビが発生するなど劣化を早める原因になります。
日本画の適切な湿度は55%前後、油絵の適切な湿度は50%前後になります。
極端な多湿空間は作品にとって危険ですのでご注意ください。

2、温度
20℃前後が日本画・油絵ともに適切な温度になります。
人が普段生活する範囲であれば、温度はさほど心配する必要はありません。
自宅で湿度と温度を24時間365日管理できる?
美術館のように常に適切な湿度・温度の管理を、自宅で同じように行うことは正直不可能に近いと思われます。
しかし絵画の保管に適切な環境は人にとっても適切な環境になります。
人にとっての適切な湿度・温度の目安は、湿度40~65%・温度18~26℃と言われています。(画像の湿温度計参照)
多少の差異はありますが、比較しますと皆さんにとっての適切な環境は絵画を長く楽しむための環境と近いと言えます。保管のためと難しく考え過ぎずに自分によい環境の延長線上として考えてみてください。

3、紫外線
直射日光などの強い紫外線は作品を傷つけたり、変色や退色を引き起こします。
街中でよく見るウインドウに貼ってある変色・退色したポスターと同じように、絵画も紫外線を浴び続けると変色・退色してしまいます。
飾る際には直射日光を避けて風通しの良い場所がベターです。

4、ガスや煙
絵画を最も早く劣化させるのは排気ガスや煙です。
エアコンなどの排気口の近く、喫煙スペースの近くに絵画を飾らないでください。
5、掛けっぱなしにしない
気に入っている作品でも、長年と掛けっぱなしにすることは、良いことではありません。
室内の蛍光灯からも微弱な紫外線は出ており、それ以外にもホコリ等が何年と蓄積していくと作品を傷めてしまいます。
床の間の掛軸を季節ごとに掛け替えることは作品を通じて四季を楽しむといった目的とは別に数か月で掛け替えることで、作品の保護になっていました。
掛軸と同じく絵画もたまには外して休ませてあげることが重要です。
以上5項目ですが、いかがでしょうか?繰り返しになりますが、あまり難しく考えず過ごしやすい室内の環境づくりの延長線上として試してみてください。
いつき美術 齋藤
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